英ポンド/円相場は、5月上旬以来のポンド高・円安水準となる130円台まで値位置を切り上げている。引き続きポンドサイドには特に目立った材料は見当たらないが、円相場が主要通貨に対して全面安の展開になる中、対ポンドでも円売り圧力が強くなっている。
自民党の政権公約が発表されたが、デフレ・円高からの脱却に向けて「欧米先進国並みの物価目標(2%)を政府・日銀のアコード(協定)で定める」方針が示されている。マーケットでは日銀による建設国債の直接引き受け、3%の物価目標といった報道を受けて賛否の議論が交錯していたが、最終的に出てきた政権公約は、極めて常識的な内容になっている。これを手掛かりに円売りポジションの買い戻しを進める余地も存在したが、逆に円売り安心感が強くなっており、ポンド/円相場は上昇トレンドを維持している。このまま日銀の緩和姿勢強化の思惑のみで一方的にポンド高・円安トレンドを確立するとは考えていないが、値ごろ感に基づくポンド売り・円買いはリスクが高い。
11月21日には7~8日に開催されたイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)の議事録が公開された。同MPCでは資産買取プログラムの規模据え置きが決定されているが、マイルズ委員が250億ポンドの購入枠拡大を主張していたことが明らかになっている。政策金利については全会一致で据え置きが決定されており、「予見可能な将来に引き下げる公算は小さい」として、当面は利下げ余地が存在していないことが確認できる。景気減速懸念から追加緩和期待も高まっているが、MPCはインフレが中銀目標を下回る「可能性は小さくなった」と指摘しており、直ちに追加緩和が展開される状況にもない。今後の景気減速を確認した後の政策対応とされる見通しであり、当面はポンド独自の値動きは想定しづらい。
今後1週間の予想レンジは、130.00~133.50円。